税理士を目指そうかなと思っている若い方へ

税理士を目指そうかどうしようか迷っている若い人に向けて、私の思いを書いてみます。

最近税理士の受験生が減っているそうです。これからAIにとってかわられる仕事らしいので、将来性がないとのこと。何年も勉強して、合格したとしても、その努力に見合うリターンが望めないと、若い人たちが感じているということでしょう。

そうですね。ただ税理士試験に合格しただけでは、食えない時代が来るでしょう。

古式ゆかしい記帳代行が中心の税理士は、すでに淘汰されつつあると言われています。

でも、完全に淘汰されるには、まだしばらく時間がかかるかも。

今流行りのクラウドソフトの広告を見ていると、「誰でも簡単」とか、「簿記がわからなくても」みたいな宣伝、多いですね。

しかし、たまに、素人さんから、そういう会計ソフトを使って作った帳簿や申告書を、「ちょっとチェックして欲しい」とか、「ここだけ合わないんだけどー」と言われて、「いいよー」と、軽い気持ちで拝見すると、

「えええええ???ここだけ、じゃないよ、ちがってるとこ・・・。」       

一応説明して、納税額に影響するところを中心に、アドバイスしたり、応急処置しますが、「こうやったら、もっと納税額が減るよ・・・」とか、「あー、これ、調査来たら、アウト・・・」とか説明して、あちこち修正するうちに、「顧問料払うから、面倒見てください。」とおっしゃって頂いて、お客様になって下さったりすることもありました。

また、会計事務所での経験がある方が、退職後に任意団体の会計を一人でされていたケースで、会計入力はできたけど、決算が組めなかったケースがありました。その団体は、税務申告の義務がなく、税理士はいらないとお考えでしたが、ふとしたご縁でご相談があり、お引き受けしたところ、問題を解決できてとても喜ばれ、いまもそのご縁は続いています。

会計ソフトに入力することは、それ自体は難しくありません。でも、決算を組み、正しい申告書を作ることは、まだ、誰にでもできることではありません。

私は、関与したら最初に、お客さまの業務内容、目標、その方のご経歴、性格、生活のスタイルなどを、じっくりとヒアリングします。そして、お客様ご自身で入力できるようにサポートするのか、こちらで入力をお引き受けするのかをご相談して、会計ソフトの仕様をカスタマイズします。

お客様が入力される場合でも、会計ソフト(弥生会計の弥生ドライブを推奨しています。)の初期設定は、私がします。事業年度や事業所名等の入力、勘定科目と、補助科目、消費税区分の設定をします。こちらで数か月分を入力して、頻繁にでてくる仕訳を、あらかじめこちらで登録します。

お客様は、それを見ながら入力し、それをこちらでチェックして、間違いを正していくことで、完璧な帳簿が仕上がります。

税理士を頼まない方は、この最初のカスタマイズを、全部ご自身でしなくてはなりません。つまり、一般の方にとって、会計ソフトメーカーが宣伝するほど、会計入力は簡単ではないと思います。

銀行やクレジットカードの入出金を、自動的に取り込んでくれるソフトは、うまく使えば楽ができるのですが、入金が売上、支出が経費とは限りません。自動取込は、学習機能はありますが、人間がその仕訳が正しいかどうかを判断して、修正しないと、学習もしません。

私ももっと楽がしたいので、会計、税務ソフトについて、AIのさらなる活躍を期待しています。

そして、日本の税法は本当に複雑です。

毎年のように改正されるので、税理士資格を取るために何年も勉強しても、そのあとも、まだまだ勉強が必要です。

もし、日本の税法が、エストニア(国)のように、もっとシンプルになって、もっと会計ソフトや税務ソフトが賢くなれば、税理士は、いらなくなります。

(エストニアの政策は非常に先進的!日本も、是非学ぶべきです。)

でも、大勢の税理士が、国税局の電話相談員や、税務署の相談担当として協力しないと、毎年の確定申告期の相談に対応できないような現状では、まだ先は長いかな。

AIのチャット対応が、もっと賢くなれば、相談員もいらなくなるのでしょうか?

ともかく、税理士がいらなくなる社会が、いつ実現するのかは誰にもわかりませんね。

私にも未来のことはわからないですし、若い方の大切な将来について、責任とれませんから、安易に特定の職業をお勧めすることはしません。

私のお勧めは、2つ以上の専門を持つことです。これは、税理士だけでなく、どのような仕事でもです。

私は英語がちょっとだけできます。でも、そんなものだけでは、全く仕事になりません。

しかし、税理士資格に、このちょっとの英語が加わると、お引き受けできる仕事の幅がぐっと広がります。

どのような職種でも、勉強することをやめたら、そこまででしょう。資格の上にあぐらをかいていては、良い仕事はできません。

これからの若い方には、是非、2つ、3つの得意なこと、好きなことを生かして、先が見えにくい世の中を、サバイバルして欲しいと思います。

私は、この仕事が、好きです。

何より、困っている人を助ける仕事をしたいという希望が叶いました。相談にいらっしゃった方々が、「すっきりしました」とか、「本当に助かった。有難うございました。」とおっしゃって下さると、この仕事を選んで、本当に良かったと思います。

仕事を通じて、新しい出会いがあること、

経験を重ねることが財産になるので、年をとることも楽しみです。

広報の仕事も楽しかったのですが、たとえ正しいことを言っても、会社や上司の理屈で通らなかったり、「何のために?」とか、「無駄なのでは?」と思う仕事も、勝手にやめるわけにはいきませんでした。

税理士は、「法律に従って」、「正しいと思うことを中立の立場で」、「お客様のために」やればいいので、だれのために?とか何のために?などと考える必要がなく、ストレスがありません。

私はいまのところ、ほとんどいませんが、どうしても気が合わないお客様は、同業者の友達に代わってもらえば良いのです。

調査官と意見が食い違うときは、けんかしても良いのです。

(まさか、けんかなんてしたことありませんよ。おほほほほ。👻👻)

なんていい仕事なんでしょう✨✨✨

どちらの道に進むか迷ったら、どちらに進んでもいいのです。どちらが最善だったかを、比べられる人はいません。

できることは、その道を選んだことを後悔しないように、全力で努力することです。

さあ、それぞれの道で、お互いに頑張りましょう!